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   10 存在理由



 おまえなにやってんの、と彼が笑いながら言ったから、本当につくづく不快なんだ、と僕は思った。
 まるで血を思い起こさせるような暗く深い赤髪を見やって、顔を歪める。
「なんで上がってきてんの」
「俺の自由だろ」
「…………」
 地上へ降りるには許可がいるけど、天上に上がるのは自由だから、確かに彼の言うとおりだったけど、僕は苛々した。僕たちの仕事の手伝いで許可を得て地上に降りているのに、そんなしがらみなんて彼は無視をする。
 いつだってレイは、自分勝手だ。
「──で、どうなの? 強制解除?」
「だったらなに」
「本当に、おまえなにやってんの?」
「っ、」
 そんなふうに簡単に言うから!
 本当に僕は彼のことが不愉快で腹立たしくて気にいらないのだ。瞬間的に沸騰しかけた感情をぐっと抑えて、とにかく僕は踵を返し、彼といる〈空間〉から離れようとした。
 瞬間、わっと彼の〈意思〉に押されて、〈空間〉が変化する。
「────」
 白い路地。
 寒々しく雪にまみれ、狭く薄汚れ、ひどく寂しい場所。……雪が降っている。夜だった。おぼろげな月明かりに路地を浮かび上がらせていた。
 そこがどこなのか、僕はよく知っている。
 ちっと僕は舌打った。天上の〈空間〉は、そこにいる存在の〈共有の認識〉によってつくられる。強引に僕の〈記憶〉を引き出されたのだ。
 レイは路地の奥に立っていた。かつてセシルが自分の姉を腕に抱きながらうずくまっていた場所だ。わざとそこから僕を見やる。
「なあ、おまえ、俺とあいつを会わせて、どうするつもりだったの」
「──別に」
「あいつ、ぐだぐだじゃん。おまえ、本当になにやってんの?」
「そんなことあんたに言われる筋合いないよ!!」





To be continued
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水沢圭子

Author:水沢圭子
目指せ小説書き。日々の生活に甘んじず頑張るために実験的にブログ小説を始めることにしたくせに、結局書けてません。とはいえ現在は投稿メインでがんばり中。

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