上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 

 アーチィはそれから軽く肩をすくめると、ひょいと身体をどかした。それを見たレイが同じように音をたてずに身体を横に開く。
 私もゆっくりと身体を動かして、少女の前から退いた。
 道を開く。
 ──〈少女〉とシヴァージをつなぐ道を。
 シヴァージが立ちあがった。ゆっくりと、しかし確かな足取りで近づいてくる。その目は私を見ていなかった。
 少女の前にたどりつくと、静かにひざまずく。
 手を伸ばし、呆然と床に座り込んだ少女の頬に触れた。
「──美帆さん、」
 少女はまっすぐに顔をあげて、彼を見た。その目にもう怯えや戸惑いはなかった。
「愛してください」
 愛を乞うように切なく、シヴァージはそう彼女の目を覗き込む。
「……愛して、ください。あなたの子どもを──あなた自身を」
「ハル、」
「僕はあなたのことが好きです」
 シヴァージがはっきりとそう告げる。
 彼女はそれを真摯に──落ち着いて聞いていた。
「好きだから、幸せになってほしい。本当に心から幸せだと思えるようになってほしい。だから、僕はあなたもあなた自身のことを愛してほしいと思う。きちんと自分を大切にしてほしいと思う」
「……ハル、」
「美帆さん。あなたに必要なのは僕という〈存在〉じゃない、あなた自身だ。あなたが、あなた自身を愛することだ。──求めるのではなく、許すように」
「…………」
 私たちは二人から距離を置きながら、顛末を見守っていた。
 ふと気づけばレイはすでに姿を消している。アーチィがさりげなく私の後ろにまわって背中から抱きしめてきた。私は彼に身体を──イメージの中で預ける。
「……天ちゃん、」
「うん?」
「ありがと」


To be continued
----------
にほんブログ村 小説ブログへ

ブログランキング・にほんブログ村へ


FC2 Blog Ranking


 
Comment






(編集・削除用)

 

管理者にだけ表示を許可
Trackback

http://smallgrass.blog3.fc2.com/tb.php/113-f9813ef0
プロフィール

水沢圭子

Author:水沢圭子
目指せ小説書き。日々の生活に甘んじず頑張るために実験的にブログ小説を始めることにしたくせに、結局書けてません。とはいえ現在は投稿メインでがんばり中。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。