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   12 〈彼ら〉の選択



「天ちゃん!? ──なんで!?」
 アーチィが叫んだ。
 自分の〈力〉を跳ね返され、愕然と私を見つめ返す。
 問いは当然だった。
 〈彼女〉は殺されるべきだった。シヴァージを地上に堕とすわけにはいかない。〈彼女〉が契約を解かない以上、契約の鍵となる〈彼女〉自身を消すしかなかった。それが最良の方法だと、選んだはずだった。
 けれど直前になって身体が動いていた。
「……だめだよ、あーちゃん。私には殺せない」
「天ちゃん!!」
 背中に〈少女〉をかばって、私は私の悪魔と対峙する。
 私の隣にはレイがいた。
「騒ぐなよ、餓鬼。──選択はいつだって誰にでも自由に与えられる。勝手に決める権利は誰にもない」
「…………」
 淡々と告げるレイを見やり、アーチィは顔を歪める。
 だが、私とレイの行動に驚いているのはアーチィだけじゃなかった。アーチィの後ろでシヴァージが、私の背中で少女が、呆然と私たちを見上げている。
 彼らの視線から私は顔をそらした。
 ……彼らの眼差しが望むような理由は私にない。
 あるのはただ私的な感情だ。
「……あーちゃん」
 私は顔をあげて、まっすぐにアーチィだけを見つめた。
「私にはできないよ。私には彼女を殺せない」
「……でも、僕らの仕事だ」
「分かってる。でも……」
 最良の選択。
 そのはずだった。
 だけど私には無理だ。どうしても〈それ〉を選べない。
「天ちゃん、」
 アーチィが困ったような顔で名前を呼ぶ。
 ──なによりも大切な、私の悪魔。
 私という存在を待ち続けて、彼がどれだけ苦しく生きてきたかを知っているから。
 叫ぶように私は吐き出していた。
「私はもう、誰も待たせたくなんかないんだ……!!」
「────」
 突かれたようにアーチィが目を見開く。
 レイが私を振り返ったのが分かった。シヴァージと、〈少女〉もまた私を見ていた。
 彼女を殺せば、彼女のお腹の子どもも──シヴァージの〈天使〉も一度死ぬ。未覚醒のままなら、その〈魂〉と〈形質〉はもう一度生れてくることができるけど、次はいつ生れてくるかは分からない。
 ……次はまたいつ出逢えるか分からないのだ。
 その孤独。
「おまえは待つことなんて大したことじゃないと言うかもしれないけど、それがどれだけつらいことか、私だって知っている。……おまえが私を守るように、私もおまえを傷つけたくないんだ」
 たとえそれが私にはどうすることもできない孤独だとしても。
 ──いや、だからこそ。
「選択できることなら、私にはそれを阻むことはできない──」



To be continued
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水沢圭子

Author:水沢圭子
目指せ小説書き。日々の生活に甘んじず頑張るために実験的にブログ小説を始めることにしたくせに、結局書けてません。とはいえ現在は投稿メインでがんばり中。

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