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 思わず怒鳴り返していた。セシルは僕の天使なのだ。レイに口出しされるいわれはない。
 レイは空を仰いだ。
 僕たちの意図的な沈黙を、陰鬱な雪が埋めていく。
 ……最初から。僕だって昔からレイのことが嫌いだったわけじゃない。今だって、厳密には〈嫌い〉なわけじゃない。ただ本当に彼のやることが気に入らないだけだ。
 〈半身〉のないまま過ごした、永遠のような半世紀。半端者の僕たちは結果として一緒にいることが多かった。隣にいたからといって決して互いの寂しさが慰められたわけじゃないけれど。……むしろ一緒にいればいるほど、僕たちは孤独を深めていったけれど。
 先の見えない孤独。
 僕たちは同じように存在し続けることに倦んでいた。いっそ消滅したいとさえ思った。二人ともそのぐらい求めていた。──なのに。
 この路地で出会った。
 ようやく得たそれを、レイはあっさりと手放したのだ。
「──もういいよ」
 僕は覆いを取り去るように、〈空間〉を掴んで薙ぐ。一瞬にして雪降る路地は消え去り、白だけの世界に戻った。
 レイと僕の間で、〈共有〉するものはもうなにもないのだから。
「僕たちがどうしようとレイには関係ない。……強制解除はするよ。なんと言われようともね。それが最善だから」
「……あいつが本当に強制解除を望むと思っているのか?」
「思いあがるんじゃないよ!!」
 衝動に任せて怒鳴りつけていた。
「あんたはセシルとなんの関係もないんだよ!! 理解者面してるんじゃないよ、図々しい!!」
 何も分かっていない何も分かっていない何も分かっていないくせに!
 僕はレイに背中を向けた。もうこれ以上、顔を見ていたくなかった。こんなにも許しがたい侵犯はなかった。
「……あんたはそこで見ていろ。どうせそのぐらいしかできないんだからな」
 振り返りもせず言い放って、僕は地上に〈飛び降りる〉。
 ひとりぼっちの悪魔を置いて。
 僕はただ僕の〈天使〉にめがけて、一直線に地上に降下した。



To be continued
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水沢圭子

Author:水沢圭子
目指せ小説書き。日々の生活に甘んじず頑張るために実験的にブログ小説を始めることにしたくせに、結局書けてません。とはいえ現在は投稿メインでがんばり中。

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